失敗しない家づくりを伝えたい…。
1990年頃、当時依頼された高気密・高断熱住宅の新築施工現場を訪れた私は、担当大工の進行状況や納まり具合を楽しみにしていました。
ところが、かつて経験したことのない違和感と不安が私を包んだのです。それは、窓サッシに結露が多く、会話や作業音が反響する驚きに加え、息苦しさを感じたからでした。
窓の結露は計画換気により空気が動けば回避されますが、壁の中はそうもいきません。壁体内結露で腐ってしまうからです。
家の中の反響音は、カーテンなどで吸音・遮音の工夫をすれば改善されますが、余計な手間と費用がかかり、やはり自然とはいえません。
当時、完璧な注文住宅をお客様に引き渡した後、住み心地を聞いてみたところ、不具合はないものの起床前はエアコンが必要で、
夏の西陽は省エネの妨げだと苦笑していました。
この時、私はもう二度と言い訳の必要な高気密住宅は造らないと決めたのです。
同時に、「無垢の木と漆喰で、環境に優しい家を建てたい」
「住宅の近代化と高断熱化に伴って、アトピーやアレルギー、集団感染が増加している現実を改善したい」と本気で考え始めました。
その後、長く役員を務めた会社に外断熱工法の家づくりを導入し、創業以来最高着工数を見届けてから独立しました。
増改築現場において、壁の中が結露で傷んだ状態になっていたり、家具の後ろなどにカビが発生したりしているのを何度か見てきましたが、これでは生活しながらカビを吸っているのと同じです。
いくら室内の換気を建築基準法で義務づけても、目に見えない壁の中や構造体が不健康では根本的な解決になりません。
そこで、空気の通り道である「通気層」に断熱効果を持たせ、壁の中も安全な素材で二重三重の換気が自然にできたらと考えました。
室内と一緒に構造体も呼吸できるのが人に優しい健康的な住環境であり、長持ちする住宅で機械に頼らず経済的負担を軽減できる自然な家が本当の省エネ住宅といえるでしょう。
この十数年、その理想的な住宅を「自然三層通気外断熱工法」を用いて建築してきました。私たちが建築する建物には、全体的な自然通気を計画した家づくりで圧倒的な違いがあります。それは、空気環境と温熱環境に重点を置いた「自然に暮らせる家づくり」に焦点を当てている点です。
ちっぽけな人間が壮大な自然に立ち向かうなんてできませんが、住む人を喜ばせる家づくりならできそうです。人の抵抗力を弱めたり、アレルギーで過敏になったりするような建造物を安易に造ってはならないのです。
これからは、三世代以上継承できる家づくりで次世代に繋いでいきたいと考えています。
ショールームについて


弊社1Fには、健康的な素材を使ったショールームがございます。カタログやサンプルではない実物をご覧下さい。IHクッキングヒーターや最新のトイレも体験できます。